お年寄りの介護は、子育てに似ているところもあると思います。
子育ては
離乳食、オムツ、ベビーカー、遊び
これがお年寄りだと
↓
食事介助、排泄介助。車いす、レクリェーション・・・
でも子育ては、だんだん自分で出来ることが増えていって、成長が見られる。
反対に老人介護は、だんだん自分で出来ることが減っていき、やがて
寝たきりになり、、終末を迎える。
終わりが来ることはわかっているので、限られた時間をできるだけ穏やかに、
楽しく、苦痛なく過ごして頂けるよう、私達介護士は頑張っています。
でも自宅で一人で頑張って生きてこられた方も、施設へ入ると、すぐに
車いすになり歩けなくなったり、認知症が進んだり、いろいろやってもら
える安心感が逆効果になる場合もあります。
転倒を恐れて、歩かせない。
少ないスタッフで忙しく動き回っているので、一人にじっくり関わって
あげられず、何もせずじーっと座っている時間が多いなど、施設側の問題
もあります。
もっと利用者さんと関われるよう人員に余裕が欲しいものです・・・。
だけども、逆に、施設に入られてから、身体面、精神面両方ともレベル
アップされた方もおられます。
今日はそんなSさんの話をします。
これは数年前に介護老人保健施設で働いていた時の話です。
Sさん 女性(当時84歳)
入所されて来られた時の情報は「全介助」でした。
背中は曲がり手足も硬直し、食事も手があまり動かないのでスタッフが介助、
トイレも立てず終日オムツ。
意思の疎通はできますが、小さな消え入るような声で、近くでやっと
聞き取れる状態でした。
私がSさん担当になりました。
最初のうちは「全介助」の情報を鵜呑みにし、食事やおやつ時以外は
ベットで、寝てすごして頂いていました。
けれど意思の疎通はできるのだから、もっと関わって刺激を与えないと!
と思い。起きて車いすで過ごす時間を増やしました。
そして、私たちスタッフが常にいるスタッフステーション前カウンター
で過ごして頂きました。
その場所はつねに介護スタッフやナースが出入りする場所で、いろいろな人
が声をかけてくれました。
記録を書いたり仕事をしながらでも合間に関わることができます。
それを続けることで、Sさんに劇的な変化が見られました。
会話が増えだんだんと声もしっかり出るようになって、、もともとお話し
好きで、働き者だったらしく(病院で看護助手をされていた)
数日後には、うるさいくらい(笑)よくおしゃべりされるようになりました。
そしてリハビリ担当者から、「リハビリではしっかり立ち上がることできてます」
「握力もあるから介助バーを掴んでしっかり立位保持できます」との言葉を聞き、
トイレに座って用を足してもらうことにもチャレンジしました。最初は2人介助
でなんとか出来ました。そのうち1週間もすぎたころには一人介助でトイレに
座ることもでき、日中のオムツ卒業!!となりました。
(リハビリパンツとパットは必要) (夜間はオムツ使用)
ここまでレベルアップされたのは経験上はじめてでしたので、とても嬉しく思い
「介護の遣り甲斐」というものを実感した思い出です。
介護の基本なのかもしれませんが、全員にこういう関わりが持てない
のが現状です。(もっと余裕が欲しい!)
その後のSさん
他の人の会話にも割って入り毒舌もあり、
他の認知症の方との漫才のようなやりとりで私たちを笑わし。
(認知症どうしの会話はとっても面白いです)
なにかと下ネタになり、、冷や汗^^;
ご飯も自分で食べている!
でもやはり認知症、、、お茶をわざとこぼしたり、入れ歯を外しておかゆの
中に入れてたり(-_-;)
そして気づくと糸がきれたように、ぐったり眠りこんでいたり、、、
(はしゃぎ過ぎか??)
「今日は元気がないですね、どうしたんですか?」
と聞くと
「・・・・恋してるから、、、」 ドヒャー\(◎o◎)/!
とっても楽しいSさんになりました。
介護度の高い方や認知症で大変な方でも、周りの関わりしだいで、
いい状態に変わる。といういい例でしたが
会社の経営的には、介護度が下がると「介護報酬」が下がり
面白くない状態なんですよね・・・・
「介護度が下がる」ということはとても良いことなはずなのに
ケアマネとして、そこら辺の悩みは以前ブログに書きました
そのころは ケアマネでなく一般介護職だったので深く考えていなかったけどね。
そして、またまたSさんの後日談があるんです。
楽しく、なんでも言い放題に変化したSさんですが、
その発言で問題が発生しました!
長くなったので、そのお話はまた次回書きますね <続く>