ほっしーのおひとり様を楽しむブログ

おひとり様でも楽しく元気に! ひとりでも楽しめることや、家族のこと、介護職の経験談など、思うことを何でも書いています

施設での看取り 

私の勤める「地域密着型特別養護老人ホーム」」では、看取りまで行います。

先月2名の方を看取りましたが、どちらも認知症発生から、数年かけて

徐々にいろいろなことが出来なくなり、介護を受けながら生活されていましたが、

最後は口から食べることが出来なくなり、終末期となりました。

 

アルツハイマー型認知症の進行過程と終末期

 

いまや65歳以上の高齢者の5人に一人の割合でかかる「認知症」

その中で一番多いのが「アルツハイマー型認知症」です。

 

最初は短期記憶障害障害から始まります。

昔のことはよく覚えていますが、新しいことが覚えられなくなります。

さっきした話をすぐに忘れて、何度も同じ話を繰り返したり、

ご飯を食べたことを忘れて「まだ食べてない」と言ったり。

人や物の名前が出てこない、等ですが、

歳を取ればある程度の物忘れは仕方がないものです。

 

私も「あれ何だっけ? あの人なんて名前だっけ?」なんてしょちゅう

あります(-_-;)

 

認知症と普通の物忘れとの違い

 

<加齢による物忘れ>

・ヒントを与えれば思いだす

・体験の一部を忘れる

  (食べて物を思いだせなくても「食べた」ことは覚えている

・忘れてることを自覚している。

・日常生活に支障がない

 

<認知症の物忘れ>

・ヒントを与えても思いだせない

・体験の全部を忘れる(食べたことさえ覚えていない)

・忘れるという自覚がない(初期は自覚あり)

・日常生活に支障がある

 

 

認知症初期から中期へ

 

短期記憶の低下から始まる認知症も、しばらくは長期記憶は保つことが

出来ます。

 

例えば「着替えや、顔を洗う」「自転車に乗る」「トイレで排せつする」等

体で覚えた「手続き記憶」は中期に入っても長く保っておられます。

 

中期に入るとその「手続き記憶」も徐々に衰え、人の手を借りなければ

生活できなくなってきます。

 

それに伴い「無気力になったり」「怒りっぽくなったり」感情の変化の

出る方もおられます。

 

私たち介護職は、出来なくなったことをお手伝いし、出来ることは出来るだけ

ご自身でして頂くように、声掛け援助を行います。

 

アルツハイマー型認知症の終末期

入浴、排せつ、食事、移動等、全般に介助が必要になってきます。

それでも長い期間、介助を受けながら生活することが出来ますが、

最終的に「食べること」「飲み込むこと」を忘れてしまって、

介助しても栄養や水分を摂ることが出来なくなり、死に至ります。

 

発症してから10年~15年と言われています。

(私が介護の勉強を始めたころは「7年」と言われていましたが、

 お薬や介護の方法が進歩して長くなったようです)

 

現在は「胃ろう」というものも出来、食べられなくなっても

胃に直接栄養を送り込み、その後も生きることが可能になっています。

 

 

アルツハイマー型認知症 Aさんの看取り

認知症の説明が長くなりましたが、先月看取りを行ったAさんのことを書きます。

 

70歳代で認知症を発生されて、ご主人様が介護されていましたが、ご主人も

高齢になり、一人で介護も大変になって、奥様はこの施設に入られました。

 

私が入職した時には、すでに中期を過ぎていて、生活全般が全介助で会話

も出来ない状態した。

食事はスプーンでお口に運ぶのですが、なかなか口を開けて下さらず、

少しづつ40分くらいの時間をかけて、何とか食べて頂いていました。

 

いつも穏やかな笑顔で介護の拒否もなく、私たちはAさんのことが大好き

でした。

ご主人はコロナ前は、しょっちゅう面会に来られ、一緒にコーヒーを

飲むなどされていたようですが、コロナ発生で面会も出来なくなり、

しばらく会うことが出来ませんでした。

オンライン面会は可能でしたが、認知症の方は難しく、

窓越し面会は外階段を使って居室の中とベランダの窓越しで会えるのですが、

Aさんの居室は6階なので、高齢のご主人には厳しく、会うことが出来ませ

んでした。

 

なので特例で一階の喫茶室に奥様をお連れし、ご主人には外の駐車場に

回ってもらい窓越しで会えるように配慮しました。

 

もう意思疎通も出来ない奥様でしたが、ご主人を見て笑顔になり、

会わせてあげて良かったーと思いました。

 

4月ごろより、いよいよ食べることが難しくなり、食べ物をお口に運んでも

飲み込むことが出来なくなりました。

食事形態を工夫し、小さく細かく刻んでトロミを付けたり、

ゼリー状の食事にしたりして、喉詰めしないよう、出来るだけ食べること

が出来るように頑張りましたが、徐々にそれでも飲み込めなくなり、

いよいよ看取り期に入ったと判断され、ご主人や娘様を交えて

話し合いを行いました。

 

終末期カンファレンス

 

主治医、看護師、栄養士、ケアマネ、相談員 家族 で話し合いました。

 

主治医より、現在の状態とこれ以上の治療や回復が望めないことを

説明してもらい、ご家族の思い、これからどうしたいか、を聞きます。

 

「胃ろう」という方法もあることも説明されましたが、

 

ご主人は「胃ろうは望みません、元気な頃から「延命治療」はしないで、と

聞いていたので、この施設で最後までお願いしたいです」とのことでした。

 

すでに口から食べることが非常に難しくなっていますが、出来るだけ

お好きなものを少しでも口にして頂くようにしますが、

「喉詰めなどのリスクもあるので、慎重にしないといけない」という

話しもしましたが、

ご主人は「これまでそのリスクの説明は聞いていましたが、ここまで無事に

食べることができました。いろいろ妻のために工夫して頑張って下さり

本当に感謝してます。今度も喉詰め等事故があったとしても、絶対

施設を訴えたりしません!最後までよろしくお願いします」と

仰いました。

 

何度か話し合いをし「終末期ケアプラン」を作成し、それを皆で

共有し職員全員で看取り介護に入ります。

 

 

長くなったので、これから行った看取り介護の話はまた次回・・・