私の勤める「地域密着型特別養護老人ホーム」では、入居者様の「看取り」まで
行っている。
以前「死に方を考える」という記事をかいたが、
病院でいろいろな管につながれながら死ぬのはイヤだと思っている私にとって、
自宅で最期を迎えるのが無理ならば、こういう看取りをしてくれる施設ならば
入りたいと思えるところだ。
コロナ禍での面会
コロナ禍での面会は、現在も「オンライン面会」か、「窓越し面会」のみになっている。
「オンライン面会」とは、家族様が1階の受付に来られそこでパソコンの「スカイプ」
を使って上の階に入居されて入る方と顔を見ながら話が出来る。
だだ、認知症が進んで家族を認識できない方や、会話ができない方は難しい。
「窓越し面会」とは、施設の中から入居フロアに入らず、外階段から入居されている
フロアに上がってもらい、ベランダの窓ごしに面会できる方法である。
この施設は6階建てなので、最上階の方は大変だ! そして窓は開けられないので、
声はほとんど聞こえない。ジェスチャーや筆談で会話される。
中には携帯電話を渡して中と外で会話される方もいる。
いろいろと工夫して面会をしていただくが、コロナをきっかけにほとんど面会に
来られなくなった家族も多い。
いつまで続くんだろう・・ 早くワクチン接種が進むよう皆が願っている。
施設での看取り
ここ数カ月で、3人の方がお亡くなりになった。
徐々に食べることが困難になり、介助で何とか出来るだけ水分やゼリー状の食べ物
等を摂っていただくが、発熱したり、意識が朦朧とする状態になれば、いったん病院を
受診し、入院もされるが、口からはもう食べられない状態になれば、延命措置として
胃ろうを作るか経鼻栄養にするか、医師から家族に問われ決断を迫られる。
今は病院も、たとえ終末期であろうと直接の面会は出来ない。
会えるのは亡くなってからか、危篤状態になりもうすぐ亡くなるであろうと判断がつい
た時くらいだ。
3名の方の家族は、どなたも延命措置は希望されず。施設に戻って来られた。
どういうケアを行うのか、家族や職員と話し合い「看取りケアプラン」を作成し、
面会も外階段を通ってベランダから居室にも入って頂けるようにして、いつでも
会えるようにした。
お好きな飲み物を少しづつ何回にも分けて、看護師や担当職員が介助で飲んでもらった
り、食べれそうなものをミキサーにかけて少しづつ食べてもらう。
施設の主治医は何かあれば出来るだけ駆けつけてくれ、電話でも何度でも相談に
応じてくれた。
看護師も夜間でも電話に出れるよう、何かあれば駆けつけられるよう、順番にオンコー
ル対応を受け持ってくれた。
その間数週間から1か月以上の方もおられたが、皆家族の見守る中、穏やかな
看取りができた。
そして亡くなられた後は、職員、同じフロアで生活を共にしていた他の入居者さんと
お別れ会を開く。
ひとりづづ花を手向け、声をかけお別れをする。
これは今まで経験した施設ではなかったことだ。
たいがい他の入居者さんが混乱しないように、隠し、ひっそりと出ていかれた施設しか
知らなかった私は、初めて見て感心した。
そうよね、今まで一緒に生活を共にしてきたのだから、お別れもしっかりさせて
あげなくちゃ・・・ それによって混乱する方はおられなかった。
看取り期は職員は気が抜けず大変だけど、家族様からは「最後までここにいさせてもら
って本当にありがとうございました。」とお礼を言われる。
そしてその後対応した職員は看護、主治医とともに
「看取りの振り返り」としてカンファレンスを開き、良かったこと、後悔したこと、亡
くなった方のこれまでの思い出などを話し合い、今後のケアに生かすようにしている。
おひとりだけ「最後は自宅に連れて帰って看取りたい」と、看取りケア期に入って
しばらくしてから在宅療養に切り替え、家に戻られた方もいた。
看取り期といえども、長期にわたる場合も想定されるので、
「しんどくなったら、いつでも施設に戻れるよう居室を空けておきます」と
伝えていたが、1週間くらいで亡くなられ、
「おかげさまで、いい看取りができました」と報告してくださった。
これは娘様が元看護師だったからできたことかもしれないが、あっぱれであった。
私も病院で死にたくないし、胃ろうなどの延命治療もしてほしくないので、
そのうちエンディングノートを作成しようと思っている。